岐阜県岐阜市所在の株式会社メタル・クラフト(組合員)で就労する王鑫(オウ キン)さん(38歳|中国国籍)が、2024年10月28日付で「特定技能2号」の在留資格を取得しました。当組合は建設業分野の特定技能2号を計4名(2社)支援しておりますが、今回、当組合では初めて工業製品製造業分野で特定技能2号の取得を支援することができました。そこに至るまでの道のりと今後の展望について、同社の辻雅彦社長と王さんに話を伺いました。
王さんは2007年9月に研修生として来日し、外国人建設就労者を経て、2019年10月から特定技能1号として、通算11年間就労していました。そして、2024年10月、年1回しか実施されない技能検定1級に合格しました。辻社長は、「実技試験は、愛知県に通って専門の講習を受講し、会社で練習を重ねました。学科試験は、過去問を繰り返し解き、解説をじっくり読み込むことで理解を深めました。日々の積み重ねが実を結びました。」と話します。
また、特定技能2号で認められている家族の帯同について、王さんに伺うと「日本で一緒に暮らすことを考えており、そのために家族も日本語を勉強しています。来年の1月ごろに、一旦短期滞在で家族を呼び、実際に日本での生活を体験してもらう予定です。」と話す顔には、家族と過ごす未来への期待が見えました。
特定技能2号取得者が社内に誕生したことについて、辻社長は、「後輩たちにとっても希望の光となっています。今後、後輩たちに高度な技術を伝える役割も担ってほしいです。」と語りました。
最後に、特定技能2号を目指す方々へのアドバイスをいただきました。王さんは、「毎日少しずつ勉強を続けることが大切です。しっかりと準備をして臨むことが成功の鍵です。」と締めくくられました。
事務局 田邊 慶一
飴山 皓_
6月10日、駐日パキスタン大使館が主催し、JITCOが後援を務める、「パキスタン人材セミナーin名古屋」に出席いたしました。現在、パキスタン人の技能実習生や特定技能外国人は、国内で70人ほどです。セミナーでは、失踪者が1人もいないことなど、パキスタンから日本への送り出しの現状や、パキスタン人材の概要などを聞くことができ大変貴重な機会となりました。
パキスタンは、日本と同様に四季があり日本に馴染みやすいことに加え、公用語が英語であるため、英語でのコミュニケーションが可能です。また、母語であるウルドゥー語は、日本語の「つ」以外のすべての発音があるため、日本語が聞き取りやすいそうです。実際に、技能実習生が日本語を披露するプログラムがありましたが、確かに聞き取りやすいと感じました。パキスタン人は大柄な人が多く、建設業などでも力を発揮しやすいとのことでした。セミナーには多数の送出し機関のパキスタン人担当者の方が参加されていましたが、皆さんかなり体格が良く、これにはかなりの説得力がありました。加えて、パキスタンで定められている技能実習生が負担する手数料も約8万円程度と安価であり、技能実習生は日本で安心して働けそうです。
しかしながら、パキスタン人材を受け入れるにあたっていくつかの課題も存在します。最も切実なのは、特定技能を受け入れる際に、パキスタン国内で環境が整っていないことでした。現在パキスタンには、日本の特定技能評価試験が存在しません。そのため、特定技能制度で日本に入国するためには、スリランカなど他の国で評価試験に合格する必要があり、かなり困難な状況であると感じました。日本国内の技能実習生は59人で技能実習2号を満了した人がほぼいないため、国内での募集は絶望的です。また、「育成就労制度」についても、パキスタン政府の方針が決まっていないようでした。
以上のことから、残念ながら当組合は、当面パキスタン人材の取扱いはありませんが、今後、パキスタン側の環境整備や方針に目を向けていきたいと思います。
事務局 多賀井 哲也
本日、柴橋正直岐阜市長が当組合を訪問してくださいました。技能実習制度・特定技能制度に係る組合業務に関する状況説明のほか、外国人の国籍による問題や対応のちがい等の実態に加え、今後の受入れ国に関する展望などをお伝えしました。
当組合の入国後講習施設の最寄りにある岐阜市役所の南部西事務所には、入国したばかりの技能実習生が、毎月のように住民登録手続を行っています。わずか1ヶ月で転入・転出をする技能実習生ではありますが、柴橋市長からは、防災対策の観点から外国人コミュニティ―との連携の大切さを感じているとのお話がございました。
その後、組合事務所の3階にある入国後講習施設へ移動し、来日してまもない技能実習生たちに、やさしい日本語を使ってさまざまな問いかけをしてくださいました。ベトナム人女性に対し、「岐阜の自然はどうですか?」と柴橋市長が質問されると、「きれいです。ベトナムもきれいです。」と笑顔で答えました。教室がある3階からは、遠くに金華山・岐阜城を望むことができます。柴橋市長は、「あれが岐阜城です。長良川もきれいです。いつか見に行って欲しいです。」と話されました。束の間ではございましたが、ご来組に感謝申し上げます。
副理事長 澤村 美喜
2022年3月、技能実習3号移行対象職種に「紡績運転/前紡工程・精紡工程」が追加され、当組合で初となる技能実習評価試験上級が、2024年3月21日に実施されました。挑戦したのは、大垣扶桑紡績株式会社に在籍する技能実習生4名です。前紡工程作業は、NGUYEN KHANH MYさん、精紡工程作業は、PHAM THI TRANGさん、PHAM THI HAさん、PHAM THI GIANGさんです。(いずれもベトナム国籍、技能実習3号2年目)
前紡工程作業の実技試験の課題は、①継ぎ・交換作業、②機械の供給作業、③機台の点検・清掃、④スライバー(糸を紡ぐために使用される繊維の束)の測定作業です。ケンス(スライバーが入っている入れ物)を手際よく交換する必要があります。
精紡工程作業の実技試験の課題は、①糸継ぎ作業、②糸の巻き上げ作業、③トラベラー(回転する糸通し)の仕掛け・機台の運転、④機台の見回り・不良箇所の処理、⑤糸の量目測定作業です。トラベラーの仕掛けなどで糸を緻密に扱う必要があります。
試験が始まると、大きな声で指差し呼称を行い、作業を止めることなく順調に進めていました。試験が終わると、彼女たちは「専門級より試験時間が短いですが、普段から行っている作業なので大丈夫です。試験のポイントを後輩に教えていきたい。」と自信に満ちた表情で話してくれました。また、技能実習指導員の方は、「普段から行っている作業だったので、4名とも合格できると思う。」とおっしゃっていました。
試験を見学した私たちも合格を信じています。試験の結果が待ち遠しいです。
事務局 和田 辰也
2023年12月14日、株式会社ワタミの技能実習生1号のファレンシアさん(インドネシア籍)が、当組合内では初となる左官作業の技能検定基礎級に挑戦しました。
左官作業の実技試験は、最初にせっこうボード(木板)に下擦り、中塗りを行い、最後に木ごてで平らにするという作業を行います。
試験前は、笑顔で指導担当者や通訳と会話をしていたファレンシアさんでしたが、いざ試験が始まると真剣な表情に変わりました。指導担当者も試験の様子を見守りながら、「2か月ほど前から何度も練習を重ねてきました。練習の時よりも早くできていたので大丈夫だと思う。」と話されていました。
本人の自信満々の表情から日頃の練習の成果を出せていたのを感じました。
繰り返し練習を重ねた結果、自信を身に付けたことによって無事合格することができたのだと思います。
技能実習2号で行う随時3級の試験では、更に成長した姿が見られるのを楽しみにしています。
事務局 和田 辰也