技能実習法では、監理の適正化に向けたインセンティブの一環として、優良適合条件を満たした実習実施者に対し、「A.第3号技能実習」、「B.受け入れ人数枠の拡大」の2つの特別な措置が用意されています。なお、2つを活用する際は、該当する技能実習生に係る技能実習計画認定申請の作成を指導をする監理団体が、一般監理事業の許可を受けていることが条件となります。
第2号技能実習を修了した技能実習生は、さらに技能等を熟達するために「第3号技能実習」に移行できます。「第3号技能実習」では、次の要件を満たす必要があります。
前区分の実技試験合格 | 技能実習生本人が、第2号技能実習期間中(または建設就労活動中)に、技能検定・随時3級(技能実習評価試験・専門級)の実技試験に合格することが必要です。 |
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1ヶ月以上の帰国期間 | 第3号技能実習を行うためには、技能実習生に対し、「第2号技能実習終了後」または「第3号技能実習期間中」に、1ヶ月以上の帰国期間を与える必要があります。なお、建設就労活動を終了した者の場合、2年就労者は1年以上の帰国期間が必要です。 |
技能実習計画の目標設定 | 第3号技能実習計画では、技能検定・随時2級(技能実習評価試験・上級)の実技試験の合格を目標とします。技能検定は、実技・学科共に合格すると、都道府県知事から合格証書が交付され、技能士と称することができます。学科試験の受検は義務ではありませんが、日本語能力及び技術力が高い技能実習生については受検を勧奨しています。 |
第3号技能実習生の受け入れを行う実習実施者は、第2号技能実習時と同一企業である必要はなく、技能実習生にも職業選択の自由が認められています。ただし、転職を新たに受け入れる実習実施者は、外国人技能実習機構において、あらかじめ第3号技能実習計画の認定を受ける必要があります。
基本の人数枠のほかに、第1号技能実習から第2号技能実習までの区分に応じて、人数枠の拡大ができます。具体的な受け入れ人数枠は次の表に基づきます。
第1号 〈1年間〉 |
第2号 〈2年間〉 |
優良な実習実施者 | |||
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第1号 〈1年間〉 |
第2号 〈2年間〉 |
第3号 〈2年間〉 |
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基本人数枠 | 基本人数枠の2倍 | 基本人数枠の2倍 | 基本人数枠の4倍 | 基本人数枠の6倍 | |
実習実施者の 常勤職員総数 |
技能実習生の人数 | ||||
301人以上 | 常勤職員総数の20分の1 | 常勤職員総数の10分の1 | 常勤職員総数の10分の1 | 常勤職員総数の5分の1 | 常勤職員総数の10分の3 |
201人~300人 | 15人 | 30人 | 30人 | 60人 | 90人 |
101人~200人 | 10人 | 20人 | 20人 | 40人 | 60人 |
51人~100人 | 6人 | 12人 | 12人 | 24人 | 36人 |
41人~50人 | 5人 | 10人 | 10人 | 20人 | 30人 |
31人~40人 | 4人 | 8人 | 8人 | 16人 | 24人 |
30人以下 | 3人 | 6人 | 6人 | 12人 | 18人 |
実習実施者が「優良」であると判断される基準は、次の表において6割以上の点数(旧配点:120点満点で72点以上、新配点:150満点で90点以上)を満たすことが必要です。
※2020年1月1日~2021年10月31日までは、旧配点と新配点のいずれかを選択することができます。(新配点による追加項目は、青字で記載。)
① 技能等の修得等に係る実績 | 配 点 |
---|---|
Ⅰ 過去3年間の基礎級程度の技能検定等の学科試験及び実技試験の合格率 (旧制度の基礎2級程度の合格率を含む。) |
最大20点 |
Ⅱ 過去3年間の2・3級程度の技能検定等の実技試験の合格率 | 最大40点 |
Ⅲ 直近過去3年間の2・3級程度の技能検定等の学科試験の合格実績 (2・3級で分けず、合格人数の合計で評価。) |
最大5点 |
Ⅳ 技能検定等の実施への協力 (技能検定員に相当する者を社員等の中から輩出している場合や、実技試験に使用する機材・設備等の貸与を行っている場合を想定。) |
最大5点 |
② 技能実習を行わせる体制 | |
Ⅰ 直近過去3年以内の技能実習指導員の養成講習受講歴 | 最大5点 |
Ⅱ 直近過去3年以内の生活指導員の養成講習受講歴 | 最大5点 |
③ 技能実習生の待遇 | |
Ⅰ 第1号技能実習生の賃金(基本給)のうち最低のものと最低賃金の比較 | 最大5点 |
Ⅱ 技能実習生の賃金に係る技能実習の各段階ごとの昇給率 | 最大5点 |
Ⅲ 技能実習生の住環境の向上に向けた取組 (すべての技能実習生の宿泊施設について、本人のみが利用する個室を確保し、技能実習責任者の責任の下で、感染予防対策の徹底を行っていること。) |
最大5点 |
④ 法令違反・問題の発生状況 | |
Ⅰ 直近過去3年以内に改善命令を受けたことがあること(旧制度の改善命令相当の行政指導を含む。) | 最低-50点 |
Ⅱ 直近過去3年以内における失踪がゼロ又は失踪の割合が低いこと(旧制度を含む。) | 最低-10点 |
Ⅲ 直近過去3年以内に責めによるべき失踪があること(旧制度を含む。) | 最低-50点 |
⑤ 相談・支援体制 | |
Ⅰ 母国語相談・支援の実施方法・手順を定めたマニュアル等を策定し、関係職員に周知していること | 最大5点 |
Ⅱ 受け入れた技能実習生について、全ての母国語で相談できる相談員を確保していること(旧制度を含む。) | 最大5点 |
Ⅲ 直近過去3年以内に、技能実習の継続が困難となった技能実習生に引き続き技能実習を行う機会を与えるために当該技能実習生の受入れを行ったこと。 |
最大5点 基本人数枠以上の受入れ:25点 基本人数枠未満の受入れ:15点 |
Ⅳ 技能実習の継続が困難となった技能実習生(他の監理団体傘下の実習実施者で技能実習を行っていた者に、引き続き技能実習を行う機会を与えるため、「実習先変更支援サイト」に監理団体を通じて受入れ可能人数の登録を行っていること。 |
10点 |
⑥ 地域社会との共生 | |
Ⅰ 受け入れた実習生に対し、日本語の学習の支援を行っていること | 最大4点 |
Ⅱ 地域社会との交流を行う機会をアレンジしていること | 最大3点 |
Ⅲ 日本の文化を学ぶ機会をアレンジしていること | 最大3点 |
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