株式会社桑原自動車 ― 初めての特定技能制度利用から1年、長期雇用に向けて伴走し、未来へのステップアップ
カーリース、カスタム、車検・整備を三つの柱として、幅広い自動車関連サービスを提供する株式会社桑原自動車では、2025年5月、初めての外国人材として特定技能外国人の受入れを開始しましたが、当組合にとっても、特定技能制度における自動車整備分野での支援が初めての企業となりました。
同社が受入れから一年が経過しようとするなか、現場にどのような変化があったのか、代表取締役の桑原誠様(写真左)と、日本語学校を卒業後、同社で働き始めた特定技能外国人のPELENIO JOSH VINCENT DONAさん(以下、JOSHさん、写真右)にお話を伺いました。

インタビュー:代表取締役 桑原 誠 様
Q:JOSHさんの受入れを決めた理由を教えてください。
人材を募集するなかでご縁をいただき、面談を行ったことがきっかけです。これまでの経験からの直感もありましたが、仕事に対する強い意欲が感じられ、非常に好印象でした。日本語での受け答えがしっかりしており、意思疎通がスムーズに図れたことが、大きな決め手となりました。
また、長期で活躍してくれる方を求めていましたが、彼からも「日本で長く働きたい」という前向きな言葉がありましたので、会社としても、できる限り彼の思いに応えて、サポートをしていきたいと考えました。
Q:言葉や文化の違いなどで、苦労したことを教えてください。
仕事をするうえで、お互いに意図がすべて伝わらないときもあるかと思いますが、そこは重々承知の上なので、苦労とは思いません。むしろ、どう伝えようか、どう理解しようか考えて、楽しみながら話しています。どうしても意思疎通が難しいときは、単語を一つ一つ丁寧に話したり、身振り手振りをすることで十分伝わりますので、仕事をするうえでの支障は感じていません。彼は仕事も日本語も日々上達していますし、私たちも彼のことを理解しようと歩み寄っています。このお互いの姿勢が、職場全体に良い相乗効果を生んでいると感じています。
Q:JOSHさんが加わったことで、どのような変化がありましたか?
従業員が、若くてエネルギッシュな彼のことをたくさん知りたがるので、会話が増え、職場全体が明るくなりました。また、従業員が教える立場になったことで、責任感が生まれ、表情が活き活きとしてきましたし、純粋に戦力が増えたことで、業務に余裕ができ、非常に助かっています。今では、レンタカーの貸出し手続きを一人で完結することができ、ルールや補償内容、車両の状態確認、操作方法なども、すべて説明できます。お客様が公道に出る際は、進行方向をしっかり確認し誘導するなど、細やかな配慮もできています。
Q:JOSHさんは、どのような存在になってほしいと考えていますか?
この一年で目覚ましい成長を遂げてくれました。いずれは、なんでも安心して任せられるような立場になってほしいと願っていますし、そのポテンシャルが十分あると信じています。
まず、仕事の幅が広がるように、本人の希望でもある運転免許(外免切替)の取得をバックアップする予定です。公道を運転できるようになれば、お客様への納車や車検場への回送も任せられるようになります。
その後、自動車整備振興会の講習を活用しながら、3級自動車整備士の資格を取得し、整備士として着実にステップアップできるよう、しっかりサポートしていきたいと考えています。
Q:JOSHさんの言動で、感心したことはありますか?
彼には自ら気づく力があります。仕事の合間で時間に余裕ができたときは、誰が指示したわけでもありませんが、工場の清掃や道具の整理を率先してやってくれます。仕事に対する誠実さも素晴らしく、片道20分ほどの自転車通勤ですが、雨の日も雪の日もカッパを着て出勤していますが、一度も遅刻はありませんし、昼食のお弁当を自分で作っていることにも感心しています。また、毎日母国の両親に電話をしているそうで、家族思いな一面が微笑ましいです。
Q:外国人雇用に対する考え方や価値観の変化を教えてください。
制度の利用や受入れに関しては、ハードルが高いと感じていましたが、最初から外国人の方に対する先入観などは全くありませんでした。なにより、これだけ真面目に一生懸命取り組んでくれたり、高い向上心には、非常に好印象だと思っています。現在従業員は充足していますが、今後人材が必要になったときは、外国人の受入れも視野に入れたいという考えています。
インタビュー:JOSHさん(国籍:フィリピン)
Q:日本で、自動車整備の仕事を選んだ理由を教えてください。
母国で父が自動車整備の仕事をしていて、学生時代から手伝っていたことがきっかけです。日本語学校を卒業するとき、将来を考え、お金のためだけでなく、これまでの日本での経験や、日本人との絆を大切にしたいと強く思いました。来日当初は、日本語を理解することが難しく、生活するうえでの苦労もありましたが、日本人の考え方や、規律正しさ、生活そのものをもっと深く経験したいと思いました。
Q:働き始めて約一年となりますが、社内はどんな雰囲気ですか?
明るくて賑やかなので、とても雰囲気が良いと感じています。最初はわからないことを、先輩が丁寧に教えてくれたおかげで、できなかったことが一つずつできるようになり、今では一人で車検や点検を任せてもらえるようになりました。また、仕事が終わって帰るとき、皆さんが「気をつけて帰ってね」と声をかけてくれることが、とても嬉しいです。
Q:日本での暮らしや、休日の過ごし方について教えてください。
初めての一人暮らしを経験し、自立できたと感じています。休日は出かけることが多く、友人と自転車でキャンプに出かけたり、東京へ遊びに行ったときは、上野、渋谷、新宿、秋葉原などを一日で回ったこともあります。あと、カスタードのクリームパンが美味しくて大好物です。
Q:今後の目標を教えてください。
まずは、日本の自動車免許を取得したいです。そして、自動車整備士の資格も取得したうえで、いずれは特定技能2号を目指したいです。できるだけ長く日本で働き、将来のために経験を積んでいきたいです。あと、日本語をもっと上達したいと思っています。2024年に、日本語能力試験のN3に合格しましたので、次はN2の試験に挑戦したいと思っています。
インタビューを終えて(インタビュアー:事務局 田邊 慶一、林 匠人)
取材開始直後、少し硬い表情をされていた二人でしたが、お話しいただくうちに緊張もほぐれ、笑顔が増えていきました。社長の優しい眼差しと、いつも以上に楽しそうに話すJOSHさんの様子から、日ごろの雰囲気の良さが伝わりました。言葉の壁を楽しみながら乗り越えていくお二人の姿に、お互いを思いやる心が大切なのだと、信頼関係の強さを再確認しました。気持ちが温かくなるような素敵な取材をさせていただけたことを、心から嬉しく思います。JOSHさんが、目標を現実のものとし、特定技能2号になった暁には、ぜひもう一度取材させていただきたいので、引き続きよろしくお願いいたします。