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育成就労制度に向けた進展 ―― 2027年6月までにスタート!

 育成就労制度は、2027年6月までに施行が求められており、政府は昨年12月に具体的な運用方針を策定するための有識者会議を設置しました。この新制度では、「分野別運用方針」が重視される方向性が示されており、分野ごとに条件が異なる可能性が指摘されています。

 新制度は、深刻化する人手不足に対応するため、原則3年間で「特定技能1号」の水準まで育成することを目的としています。また、外国人の人権に配慮し、同一企業での就労期間が一定期間(1年以上2年以下の範囲内で分野ごとに設定)を超えた場合には、本人の意向に基づく転籍を認める仕組みが導入される予定です。

 

 施行まで残り2年3ヶ月となる中、政府は施行に向けた必要な対応を以下の3段階に分けて進める方針を発表しています。

第1段階(2025年2月予定)

    • ・育成就労制度の基本方針の策定
    •  ・育成就労計画の認定基準や転籍要件を含む主務省令の作成(パブリックコメントを経て2025年夏に公布を目指す)

第2段階(2025年度着手)

  •  ・分野別運用方針の検討
  •  ・受け入れ対象分野および分野ごとの受け入れ見込み数の設定(2025年12月予定)

第3段階(2026年度実施)

 ・監理支援機関(監理団体に相当)の審査開始(施行のおおむね1年前から許可の事前申請を受付予定)

 

 なお、技能実習計画の認定や監理団体の許可の窓口となってきた外国人技能実習機構(OTIT, Organization for Technical Intern Training)は、外国人育成就労機構(ESDO, Employment and Skill Development Organization)へ改称され存続する予定です。

 

[育成就労制度と人材育成の課題]

 ここで素朴な疑問が浮かびます。果たして3年間で十分な人材育成が可能なのでしょうか。これまで技能実習制度の職種・作業に該当しなかった分野や、人材育成に長期間を要しない分野については、育成就労制度を経ず、直接特定技能制度を利用する可能性があるでしょう。しかし一方で、人材育成に時間をかけなければ技術が身につかない分野も少なくありません。

 今後、受け入れ企業がどのような人材育成計画を立てるかが、制度利用の選択に大きな影響を与えると考えられます。育成の期間や方法、そして企業が果たすべき役割を明確にすることが、制度の成功に欠かせないポイントとなるでしょう。

 

 施行まで残された時間は限られています。新制度の詳細な運用方針や分野ごとの要件が整理される中で、私たちがどのように対応すべきなのか、真剣に考える必要があります。

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